こんにちは、コウタロウです。
今回は『「良い質問」をする技術』という本を紹介します。
この本を読むと、次のことを学ぶことができます。
- 良い質問とそうでない質問の違い
- 良い質問をするコツ
- 良い質問の作り方
今回の記事では、本書の中から重要なポイントを抜粋して紹介します。
質問は4つに分けることができる
質問は、次の基準を組み合わせることで4つに分類されます。
- 答えたい or 答えたくない
- 気づきがある or 気づきがない
つまり、質問とは以下の4つに整理することができます。
- 軽い質問
(答えたい/気づきがない) - 悪い質問
(答えたくない/気づきがない) - 重い質問
(答えたくない/気づきがある) - 良い質問
(答えたい/気づきがある)
それぞれの特徴、目的、具体例を紹介していきます。
軽い質問(答えたい/気づきがない)
軽い質問とは、
「相手との関係を良くする質問」で、相手が話していて気持ち良いことを聞きます。
成功体験を聞くと、軽い質問になりやすいです。
具体例
- 仕事、学業、スポーツでの成功体験
- 打ち込んでいる趣味
悪い質問(答えたくない/気づきがない)
悪い質問とは、
「相手との関係を悪化させる質問」です。
聞かれた相手が不快に感じたり、ネガティブな気持ちになります。
答えるとって人にとって、気づきも成長もありません。
具体例
- 「どうしてそんなことができないの?」
→否定的な言葉を含む質問 - 「仕事がこんなに遅い理由は何だと思う?」
→否定のニュアンスを含む質問
重い質問(答えたくない/気づきがある)
重い質問とは、
相手にとって目を背けたいようなことでも、向き合うことで成長につながる質問です。
前提として、相手と良い関係を築いていることが必要です。
具体例
- 誰にも言ったことはないが、あれは自分が間違っていたと思うことは何ですか。
良い質問(答えたい/気づきがある)
良い質問とは
物事の本質を捉えた質問で、聞かれた方は進んで答えたくなります。
答える人の成長や行動につながります。
具体例
- 「死ぬまでに必ずやりたいことは何ですか」
→本当に手に入れたいものを聞く - 「あなたが担当している業務が、社会に提供する価値とは何ですか」
→仕事の大義を聞く
良い質問をするコツ
どんな人にとっても通用する良い質問は存在しません。良い質問かどうかは、相手や状況次第で異なるからです。
良い質問をするために、どのような点に注意すべきかを紹介します。
アクティブリスニングをする
アクティブリスニングとは、積極的に話を聞く態度を示し、相手の話を引き出す手法です。
積極的に話を聞く態度とは、
相手が話す言葉そのものだけでなく、それ以外のメッセージ(=表情、声のトーン、姿勢など)から、相手の気持ちを推し量ることです。
このとき、相手から見て自分は、どのような表情、話し方をしているかにも注意してください。
イライラした話し方や、険しい表情をしていると、良い質問をしても相手にはネガティブな印象を与えてしまいます。
質問はしてもアドバイスはしない
アドバイスとは、相手の課題を聞き出し、解決する方法を提案するものです。
アドバイスによって問題を解決に導くことは非常によくあると思います。
しかし、結局は本人が気付き、行動しなければ意味がありません。
なぜなら、アドバイスの通りに行動して課題が解決したとしても、それは本人の成長にはつながりづらいからです。
一方、本当に良い質問は、その人の中に残り続け、自問自答することでブラッシュアップされていきます。
つまり「良い質問」は「一生もの」となり、相手の成長を促します。
もちろん、新入社員のように知識や経験が足りない人は、アドバイスが有効な場面もありますが、
将来的に大きく成長してほしい相手には、アドバイスではなく質問をするほうが効果的です。
いろいろな質問をその場で考える方法
相手との会話の中で、流れに合わせていろいろな質問を考えていきます。
具体的には、
相手の発言に対し、5W1Hを切り口として、質問を考えます。
5W1Hとは
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 誰と(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
のことです。
「そもそも」のレベルで質問をし、話を詳細に掘り下げていきます。
たとえば、
「就職活動がうまくいかなくて困っている」と言う人がいたら
- いつから、うまくいかないと思うようになりましたか。(When)
- 就職活動をうまく進めるために、キーパーソンとなる人物は誰ですか。(Who)
- うまくいかないと思ったきっかけは何ですか(What)
このように、5W1Hに沿って質問をしていきます。
そうすると、会話の中で詳しく聞きたいことが必ず出てきます。そこに対し、さらに5W1Hで掘り下げていきます。
また、5W1Hのうちのどれか1つを繰り返して、話を掘り下げる方法もあります。
「私」を主語にしたフィードバックを返す
質問をしたあと、相手に「フィードバック」を行います。
フィードバックには、大きく分けて2つの種類があります。
- 客観的な事実を伝える
相手の口癖や振る舞いなど、事実として伝えます。
このとき、自分の判断を交えないように伝えるよう注意します。 - 主観的な事実を伝える
私を主語にして、感じたことや印象を伝えます。
必ず、主語は「私」にします。私がどう感じたかは、相手には否定することができません。一方、「あなたは無責任です」と伝えると、相手は非難されていると感じます。
主観的な事実を伝えるときは、「私」を主語にしてください。
良い質問の作り方
良い質問を作る前提知識として、知っておくべきことがあります。
それは、人によって本当に手に入れたいものや、大切にしている価値観は異なるということです。
これらは偏りとして、その人の会話の中に現れます。
たとえば、自分自身のパフォーマンスを最大限発揮することを大切にしている人は、生活習慣や食事、睡眠時間などを重視します。
このような偏りを見つけ、掘り下げていくことが「良い質問」を作るために重要です。
「3つのV」に注目する
良い質問をするために、相手の偏りを把握することから始めます。
偏りを把握するための基準は、本著では「3つのV」と紹介されています。
「3つのV」とは、
- ビジョン(手に入れたいもの)
- バリュー(価値観)
- ボキャブラリー(よく使う言葉)
です。
Vision(ビジョン)とは
ビジョンとは、本当に自分がやりたいことを意味します。
将来的に、本当に成し遂げたいことが決まれば、今何をすべきかを考えるようになります。
つまり、本当に成し遂げたいことがわかれば、それを実現するために必要な質問は自然と生まれてきます。
Value(バリュー)とは
バリューは、その人の価値観です。
価値観は、その人の行動に大きな影響を与えます。
たとえば、仕事をする上で、ワークライフバランスを重視するのか、あるいは徹底的に業績アップを狙うのかで、その人の言動は変わってきます。
しかし、自分自身がどのような価値観を持っているかは、自分でも気づかないことが多いです。
そのため、価値観を明らかにするための質問は重要な意味を持ちます。
Vocabulary(ボキャブラリー)とは
ボキャブラリーは、相手がよく使う言葉です。
ここでいうボキャブラリーとは、ビジョンやバリューとは関係ないのによく使われる言葉を意味します。
ビジョンやバリューとは関係なく、頻出の言葉とは、今相手がとても気にしていることを現しています。
良い質問を作るときには、相手が気にしている単語を含めるようにします。
「3つのV」のキーワードと5W1Hを組み合わせて質問を作る
組み合わせの考え方
「3つのV」のキーワードが集まったら、5W1Hと組み合わせて、質問を作ります。
5W1Hとは、
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 誰と(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
でした。
組み合わせ方は、大きく2つあります。
1つめは、
相手の会話の中で、あまり使われていない「5W1H」に注目し、「3つのV」と組み合わせる方法です。
あまり使われない「5W1H」と「3つのV」を組み合わせることで、相手にとって気づきを促す質問をすることができます。
2つめは、
よく使われる「3つのV」を、2つ以上組み合わせて質問を作ることです。
ひとつの質問に、複数の「3つのV」を取り入れることで、新しい気づきを生み出すことができます。
組み合わせを作る方法
「5W1H」と「3つのV」を組み合わせる具体的な方法を紹介します。
「5W1H」と「3つのV」のキーワードを書き出したカードを使って、組み合わせを作ります。
「5W1H」から1枚、「3つのV」のキーワードから2枚のカードを引き、ランダムに選ばればカードから質問を考えます。
たとえば、引いたカードが
- 「5W1H」→「いつ」
- 「3つのV」→「信頼関係」「売り上げ」
だった場合は、
顧客との間に構築した「信頼関係」が、「売り上げ」に変わるのは「いつ」だと思いますか。
などの質問を考えることができそうです。
質問を考える側にも、ある一定の偏りがあります。その偏りを抜け出し、自分では思いもよらない質問を作り出すために、カードによる組み合わせは有効です。
まとめ
良い質問とは、
物事の本質を捉えた質問で、聞かれた方は進んで答えたくなるものです。
さらに、答える人の成長や行動につながります。
本当に良い質問は、その人の中に残り続け、自問自答することでブラッシュアップされていきます。
一方で、どんな人にとっても通用する良い質問は存在しません。
良い質問かどうかは、相手や状況次第で異なるからです。
そこで、注意すべき点をいくつか挙げると、
- アクティブリスニングをする
- 質問はしてもアドバイスはしない
- いろいろな質問をその場で考える方法を身につける
- 「私」を主語にしたフィードバックを返す
良い質問を作るためには、3つのVに注目し、相手の話の中からキーワードを抽出します。
- ビジョン(手に入れたいもの)
- バリュー(価値観)
- ボキャブラリー(よく使う言葉)
「3つのV」をもとに抽出したキーワードと、5W1Hを組み合わせて質問を作ると「良い質問」が生まれやすいです。