今回は、こんな悩みを解決するために記事を書きました。
- 今の職場に不満があるけど、転職に踏み切れない
- 取り柄のない自分を採用してくれる会社があるのだろうか
- 自分の市場価値はどのように把握するのか
結論から言うと、あなたに強みや長所がないのではなく、見つけ方がわからないだけなのです。
今回の記事では『転職2.0』の書籍から、あなたの強みの探し方や、市場価値を測る方法を解説します。
転職活動をしたことがなく漠然とした不安を抱える人や、転職によるキャリアアップを狙う人は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読みと、次のことがわかります。
- あなたの強みの見つけ方(強み=タグ付け)
- ポジションから逆算してキャリアを考える方法
- あなたの市場価値を知る方法
なお、別の記事では、『転職2.0』における「働き方に対する考え方」を紹介しています。
タグ付け(あなたの強みや適性を知る)
タグを一言で表すと「あなたがどんな人物で、何ができるのかを周囲に知ってもらうもの」です。
言い換えると、あなたの経験やポジションを要素分解し、カテゴリごとに分類したものです。
Instagramのハッシュタグを例に挙げてみましょう。
Instagramでは、ハッシュタグの後に特定のキーワードをつけることで、投稿がタグ付けされます。
タグ付けされると、同じキーワードでタグ付けされた投稿を瞬時に検索したり、趣味・興味の似たユーザー同士で話題を共有することができます。
転職2.0に置き換えると、投稿はあなた自身、タグ付けするのはあなたの経験やスキルです。
タグづけされた経験やスキルは、周囲の人間や雇用主に対し、あなたがどんな人物で何ができるのかを情報提供します。
また、転職市場において、あなたが持つタグはどの程度需要があるのか?と調べることにも役立ちます。
それでは、タグ付けはどのようにすれば把握することができるのでしょうか。
あなたが持っているタグを把握するにあたり、まずはあなたの経験やスキルを棚卸する作業が必要です。
棚卸する方法は次の2つです。
- 職務経歴書を書く
- 家族や友人に”他己紹介”をしてもらう
それでは解説していきます。
職務経歴書を書く
あなたの強みや適性を知るための方法の1つ目は、職務経歴書を書くことです。
職務経歴書とは、転職先の会社があなたを採用するにあたり、あなたの業務経験とスキルを確認するための書類です。
職務経歴書の主な役割は次のとおりです。
- これまでに、どのような仕事を経験してきたのかを伝える
- 培った経験を、転職先でどう活かすかを転職先の会社に伝える
- 自分の長所を伝える
あなたがこれまでに、どのような仕事を経験してきたのか、それを転職先でどう活かすかを転職先の会社に伝える役割があります。
職務経歴書がタグ付けに役立つ理由
職務経歴書を書くことは、自分の経験やスキルを書き出し、整理することでもあります。
これまでのキャリアを振り返り、誰に、何を、どうしてきたかをまとめる過程で、あなたのタグを整理することができます。
自分のキャリアを振り返ったり、整理する機会がなかった人は「あなたの強みは何ですか?」と質問されても、うまく答えることができないと思います。(私もそうです)
職務経歴書の書き方をインターネットで調べてみると、たくさんの検索結果が出てきます。
それだけ、他の皆さんも困っていることだと思います。
職務経歴書をタグ付けに変換する方法
職務経歴書が書けたら、『転職2.0』の巻末を見てみましょう。
巻末付録として「タグ分類表」が載っています。
- ポジションに紐づくタグ
- スキルに紐づくタグ
- 業種に紐づくタグ
- 経験に紐づくタグ
- コンピテンシーに紐づくタグ
(コンピテンシーとは、高い成果を出すことにつながる行動特性を意味します)
職務経歴書の情報をもとに、上記のタグに該当するものを書き出します。
なお、タグの数に上限はなく、基本的にたくさんあるほうがよいです。
しかし、あまり市場で需要のないタグをたくさんつける必要もないため、市場から求められるタグは何か?ということを念頭におくと良いです。
家族や友人に他己紹介をしてもらう
あなたの強みや適性を知るためのもう一つの方法は、家族や友人に「他己紹介」してもらうことです。
他己紹介とは
他己紹介とは、あなた自身のことを他者が紹介することです。
他己紹介のメリット
他己紹介のメリットは、自分では気づかない一面に気付くことができることです。
自分では当たり前にやっているので気づかないですが、周囲の人から見ると特殊だと思われるものがあります。
たとえば、私の場合、興味のあることに没頭すると言われたことがあります。
私としては、好きなことに没頭するのは当然だと思っていましたが、「もっと良くできる」「もっとこだわりたい」という気持ちが、他の人よりも強いようです。
他者から自分を評価してもらうと、自分の当たり前が、相手の当たり前ではないことに気づくことができます。
他己紹介を頼む相手と頼み方
他己紹介を頼むときは、職場の同僚、家族、友人など、複数の相手に頼むと良いと思います。
なぜなら、親密度やプライベートかどうかによってあなたがどう見えているかが変わるからです。
たとえば、親や兄弟姉妹に他己紹介を頼む場合と、職場の同僚に頼む場合を想像してみてください。
同僚の回答は、”プライベートの自分”よりも、”表向きの自分”や”社会的な自分”の要素の方が大きいと想像できます。
立場によって自分の見せ方を変えているため、他己紹介も親密度がさまざまの人に頼むことで、バリエーションに富んだ回答が期待できます。
なお、他己紹介を頼むときは、何を知りたいかを明確に伝えておいた方が真剣に回答してくれる確率が上がります。
たとえば「自己分析をしているのだけど、自分の長所がわからない。客観的に見て、自分の長所が知りたい」などです。
ちなみに私の場合、母親と姉に他己紹介を頼みましたが、何を知りたいかを具体的に伝えなかったため「逆にあなたの長所ってなに?」と逆質問されて終わってしまいました…。
ポジションから逆算してキャリアを考える
次に、あなたの市場価値を高める方法を紹介します。
市場価値を高めるためには、最終的にあなたがつきたいポジションを明確にしておくことが重要です。
目指すべきポジションを想像し、その上で現状を把握し、ギャップを知ります。
最終的に目指すポジションに到達するために、どのようにギャップを埋めていくかを考えます。
闇雲に資格を取得したり、とりあえず英語やプログラミングを学習をしても、成果に直結せず、徒労に終わる恐れがあります。
「あなたが目指すポジション」から逆算し、そのために必要なスキルや経験を積んでいく必要があります。
まずは、重要なキーワードである「ポジション」について解説していきます。
ポジションとは?
「ポジション」とは、仕事上の役割のことを指します。
役割は、役職(=部長、次長、課長などの肩書き)のことではありません。
また、仕事上の役割という意味なので、事務職という同じくくりの中でも、異なるポジションがあります。
たとえば、「営業事務」と「経理事務」を比較してみましょう。
営業事務の役割は、営業担当者がお客様との交渉などに注力できるように、社内での事務業務をサポートすることです。
経理事務の役割は、会社のお金を管理したり、入出金の流れを記録することです。
このように、事務職でも役割が異なります。
さらに、営業職もポジションで細分化すると、もっと分類されていきます。
『転職2.0』では、ポジションの特徴を、次のように説明しています。
営業職であれば、大企業向け営業担当か中小企業向け営業担当かによってもポジションは異なりますし、新規営業と既存営業でもポジションは異なります。
ポジションによって求められるスキルが異なるため、外資系企業では、ポジション別の採用を行なっており、日本でも同様の会社が増えています。
要するに、求人票やジョブディスクリプション(職務記述書、職務の内容を明記した文書)に記載されている職務内容が一つのポジションであるということです。
村上 臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』SBクリエイティブ株式会社(2021)
ポジション思考とスキル思考
著者は、ポジションを明確にする考え方を『ポジション思考』と呼んでいます。
一方、従来の転職に対する考え方は『スキル思考』と呼ばれています。
ポジション思考が何であるかを明らかにするために、スキル思考と比較してみます。
- 目指すものがなく、闇雲にスキルを磨く(英会話、社会人大学など)
- 終身雇用、年功序列が当たり前の時代にのみ通用する考え方
- 目指すポジション(=役割)を明確であること
- そのために必要なスキルを身につけたり、転職をする思考
- ジョブ型中心となる、これからの時代のキャリア形成に必要な考え方
スキル思考では「とりあえず役に立ちそうだから」という理由で、市場価値が上がるかどうかと関係なくスキルを磨こうと考えてしまいます。
英会話や社会人大学が役に立たないと言う意味ではなく、目的もなくスキルを磨くことが問題だということです。
一方、ポジション思考では、目指すべきポジションを明確にしたうえで、そのために必要なスキルを身につけようとします。
目指すべきポジションを明確化する理由
ポジションを明確化する理由は次のとおりです。
- 現状と目指すべきポジションのギャップが見えれば、次にとるべき行動が見えやすいため(何を学ぶべきか、誰とつながりを持つべきかなど)
- ポジションが明確だと、新たな業界へ転職できるため
- 異業界へ転職できる=選択肢が広がる(年収アップ、余暇と仕事のバランスなど)
ポジションから逆算してキャリアを考えるためには、はじめにポジションを明確化していなければなりません。
目指すポジションが決まれば、現状とのギャップを知ることができます。
ギャップを知ることができれば、次に自分は何をすべきかが明確になります。
また、ポジションには「業界に関わらず共通して存在するもの」という特徴があります。
ポジションが、ある特定の業界固有のものではなく、他の業界にも共通するものということは、同じポジションであれば、異なる業界への転職が可能ということを意味します。
『転職2.0』では、次のように述べています。
例えば、一番わかりやすいのは営業職です。どの業界にも「営業」という職種はありますし、営業に関わるポジションもあります。
ポジションという視点で考えれば、すべての業界・業種を選択肢のテーブルの上に載せることができます。その中から、伸びている業界を選べば、キャリアアップにもつながる転職ができます。
村上 臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』SBクリエイティブ株式会社(2021)
ポジションが、各業界を横断的にまたがって存在するので、新しい業界への転職のハードルが低くなります。
つまり、ポジションが共通していれば、手持ちのタグを活かしながら、異なる業界でも活躍できる可能性があるのです。
実績、強み、やりたいことがない人はどうすればよいか
ポジションを明確にするといっても「自分は平凡で取り柄なんてない」という人はどうすればよいのでしょうか。
転職2.0では、次のように述べています。
- 実績や強みがないというのは単なる思い込み
- 会社から給与をもらっているならば、実績や強みに見合う対価としてもらっている
- 自分の仕事を棚卸し、整理すれば、実績や強みは見えてくる
つまり、あなたは強みや実績がないのではなく、自分で気づいていないだけなのです。
タグ付けをする作業を通して、自分のスキルや経験を整理してみましょう。
- やりたいことを見つけるのが難しいなら、今の仕事の中で「ワクワクすること」や「夢中になれること」を見つける
- やりがいや満足感のある仕事に、もっと取り組むことができるのはどんな仕事か?と考える
- 楽しいことを追求し、転職によってそのポジションを目指す
棚卸しをすると「ワクワクする仕事」と「仕方なくやっている仕事」を分けることができます。
ワクワクする仕事を見つけたら「ワクワクする仕事にもっと取り組むためには?」「どこにいけばもっとその仕事ができるのか?」という視点で深掘りしてきます。
「ワクワクすること」や「楽しいこと」を深掘りしていけば、やりたいことは見えてきます。
あなたの市場価値を知る方法
タグ付けができたら、次はあなたの市場価値を測りましょう。
手持ちのタグは、転職市場ではどの程度評価されるのでしょうか。
市場価値とは
求人マーケットは「需要×供給」の関係で成り立ちます。
需要が高いが供給が少ない場合、つまり希少性が高い人材は市場価値が高いといえます。
市場価値が高い人とは、転職市場で需要が高いタグを持っている人のことを言います。
なお、市場価値を探るときに大切なことは「市場ではどのような需要があるか?」と市場に目を向けることです。
自分の市場価値を知るためには?
あなたの市場価値を知るための主な方法は、次の2つです。
- スカウト型の求人サイトに登録する
- 転職サイトのスカウト機能を活用する
これらの方法は、相手からスカウトがあります。
スカウトの反応が、あなたの市場価値を判断するバロメーターとなります。
スカウトの反応がよければ、あなたのタグには需要があるといって良いでしょう。
逆に、スカウトの反応が乏しい場合は、需要が少ないことがわかります。
その場合は、もっと需要のありそうなタグを提示したり、他のタグも合わせて提示してみましょう。
他にも、転職エージェントの担当者や、キャリアコンサルタントと直接会って話を聞いてみるのも有効です。
まとめ
今回の記事では『転職2.0』という書籍から、あなたの強みの見つけ方、市場価値の測り方について、ピンポイントで解説しました。
- タグ付けで、あなたの強みや適性を知る
- タグを把握するためには、職務経歴書を書くことや他己紹介をすることが有効
- 市場価値を高めるためには、ポジションから逆算してキャリアを考えるべき
- 市場価値の測り方は、スカウト型の求人サイトに登録し、スカウトの反応を見ると良い
この記事で解説したのは『転職2.0』の一部です。
内容に興味がある方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
今回の記事があなたのお役に立つと嬉しいです。